いろいろな生地商社の担当者さんに「上原さんのお店はリネンのご注文が多いですね」と言われます。初めはそんなに意識しておりませんでしたが、度々言われるので、当店は比較的リネン素材をお好きなお客様が多いお店だと思っております。
少し個性のある生地ですので、お店によって好き嫌いが分かれるのかもしれませんが、店主が好きなものは、そこに来ていただけるお客様も好きになっていただけることが多いでしょうし、お客様も好きなものがあるお店に集まるものですね。
ということで、今回は、COLLABORATION STYLEのオーダーいただける素材の中で、春夏シーズンの定番で人気が高く個性のある素材・リネンでオーダーを楽しんでいただくために、ご用意している生地やアイテムのバリエーションについてご紹介させていただきます。
まずは、簡単にリネンについてご紹介させていただきます。
リネンとは、20種類以上あると言われる麻の一種で、フラックス(亜麻)という植物の茎からとれる繊維をリネンと言います。
他には、ラミー(苧麻)、ジュート(黄麻)、ヘンプ(大麻)などがあり、これらもオーダー用の生地として使われることがありますが、日本の品質表示で「麻」と表示できるのは、リネンとラミーだけでございます。
その麻の中でも最も繊維が細く、滑らかでしなやかな風合いの高級素材がリネンでございます。
当店をご利用いただいているお客様も「リネン」と呼ばれる方と「麻」と呼ばれる方がいらっしゃいますが、メンズのオーダーウェアで麻と言えば、ほとんどがリネンです。
リネンの特徴は、何といっても、優れた吸湿性や発散性による涼しさやドライタッチな肌触りによる快適さだと思います。
さらに、カビや雑菌の繁殖を抑制する抗菌効果もあるので、臭いもつきにくく、汚れが落ちやすく、私のような汗かきにとっても、とても有難い素材です。真夏の汗びっしょりのシャツもあっという間に乾きますし、洗濯したシャツもすぐに乾きます。
そして、経年変化(エイジング)による、生地の風合いや着心地の変化が楽しめるのも私がリネンを好きな理由でもあります。
革靴などのレザーアイテムでも良く使われる、「エイジング」や「育つ」という言葉は、メンズウェアの世界では、とても魅力のある言葉でございます。
こちらはカチョッポリのリネンを使用した2019年製の私のスーツです。着実に育っております。
こちらは、以前にリネンスーツをオーダーいただいたお客様が後日ご来店いただいた時に撮影した写真です。かなり良い感じに育っております。
さらに、地球にとても優しいサスティナブルな素材としても改めて注目されており、同じくサスティナブルな洋服として時代を感じるオーダー服との相性も抜群でございます。
そして、リネンの洋服は、オーダーした方が圧倒的に気に入ったものが手に入ると思います。
なぜなら、リネン素材の既製服は絶対数が少ないので...
オーダーのメリットであります、生地が豊富で、デザインが選べて、サイズが合うということは、他の素材でも同じなのですが、夏のイメージが強く季節性の高いリネンを使用した既製服はどうしても数が少なくなるので、選択肢がとても狭くなりますね。
また、硬さや柔らかさ、伸び縮みなど、生地によって変わる個性的な素材なので、ウールのような万能な素材に比べて、既製服ではサイズが合いにくく、修理が出来る範囲も限られる為、オーダーでサイズを合わせて作る方が、着心地もシルエットも気に入ったものが手に入ると思います。
さらに、リネンは繊維が強く、長く愛用していただけるので、特に普遍的なクラシックスタイルのメンズウェアの世界では、少しコストがかかっても、気に入ったものを自分のサイズでオーダーするのがベストですし、愛着も湧きますね。
何せ私自身も、リネン素材の洋服は、スーツもジャケットもパンツもシャツも全てオーダーで仕立てたものしか着ておりません。
カチョッポリのリネンでオーダーしたスーツ
アルビニのリネンのシャツとハリソンズのリネンのパンツ
COLLABORATION STYLEでは、ご用意している全てのオーダーアイテムでリネンをお使いいただけます。
生地の風合いや厚さなど、オーダーするアイテムとの相性がありますが、ショップにありますサンプルや私が実際にオーダーしたスーツやシャツなどをご覧いただきながらご検討いただけますので、より出来上がりがイメージしやすいと思います。
リネン素材を使用したメンズウェアで、オーダーと言えば、まずはスーツが思い浮かぶと思います。私も、数年に一度は、リネンスーツをオーダーしたくなります。それぞれの生地によって、風合いや着心地、エイジングの進行具合も違いますので、面白くて勉強にもなります。
COLLABORATION STYLEでは、アイルランド・イタリア・フランスと様々なリネンメーカーの個性的な生地が揃います。
世界中の生地マーチャントのリネンが収録されているバンチブック
まず、代表的なリネンのスーツと言えば、バリっとした糊が効いていて、張りやコシがあり、しっかりとした仕立て栄えのする憧れのアイリッシュリネンのスーツですね。
ダブリュ・ビルの100%リネンのトロピカルで仕立てたダブルのスーツ
スペンス・ブライソンの100%リネンのトロピカルで仕立てたスーツ
最近の特徴ですと、20~30歳代のお客様にもアイリッシュリネンのスーツは人気がございます。20代から着ていただけると、30代、40代の頃には素晴らしくエイジングされている(育っている)と思います。
アイリッシュリネンとは逆に、「日本の夏」でも着ることが出来る薄く軽いリネンスーツをイメージされているお客様には、イタリアのリネンであれば、ソフトで馴染みが早く、鮮やかな色のスーツをオーダーいただけます。
元々、ソフトな生地が好きな私は、イタリアのリネンのリラックスした着心地は大好きです。アイリッシュリネンのハードな風合いとヘビーウエイトが苦手な方は、イタリアのリネンでオーダーされるのが良いと思います。
カッチョッポリの100%リネンのトロピカルで仕立てたスーツ
ソルビアッティの100%リネンのヘリンボンで仕立てたスーツ
また、滑り感があり、しっとりとしたタッチの軽い生地で、イタリアのリネンとも少し違う風合いのフレンチリネンのスーツも着心地や色が素敵です。
メゾン・エラールの100%リネンで仕立てたスーツ
私が一番最近にオーダーしたリネンスーツは、メゾン・エラールの生地を使用しましたが、ソフトでしっとりとした風合いと空気が入ったような軽さが特徴で、着心地の良さにかなり気に入っております。
メゾン・エラールの100%リネンのトロピカルで仕立てたスーツ
ふんわりとして、力みが無い、良い感じの抜け感が気に入っております。
ジャケットは、スーツではあまりお薦めしていない薄く軽い生地や既製品ではあまり見ることが無い派手な色柄も選んでいただけますので、より選択肢が広がります。
スーツよりも気軽に着ていただけますので、スーツはまだハードルが高いと思われる方は、ぜひジャケットからオーダーしてみてはいかがでしょうか。
ドラッパーズのグリーンのヘリンボンで仕立てたジャケット
メゾン・エラールのベージュベースのダブルウインドペーンで仕立てたジャケット
また、サファリジャケットもリネンとの相性が良いアイテムですね。ハードで肉厚な生地でアウター感覚でオーダーいただいても、薄くて軽い生地でシャツジャケットのイメージでも、どちらも良いと思います。
ハリソンズの黄色味がかった100%リネンで仕立てたサファリジャケット
カチョッポリのリネンソラーロで仕立てたサファリジャケット
基本的に、スーツで使用出来る耐久性のある生地は、パンツでもオーダーいただけますし、リラックスしたシルエットのカジュアルパンツであれば、シャツ生地を除いて、ほとんどのリネンでオーダーいただけます。
メンズでは、スーツやジャケット以上にリネンパンツは既製品が少ないので、探されている方は、オーダーするのが一番です。
私も、今までクラシックなパンツから、カジュアルなパンツまで仕立てております。
ハリソンズの100%リネンのブラウンで2020年に仕立てたパンツ
2プリーツの脇尾錠付きのベルトレスで、クラシックスタイルのパンツに仕上げております。リネンシャツとコーディネイトして余裕のある大人の夏の装いを演出しております。
ホーランド&シェリーの100%リネンの大きなチェック柄で2013年に仕立てたパンツ
軽いリネンなので、ノープリーツで軽快なパンツに仕上げました。このパンツも10年以上活躍中です!
同じ100%リネンのパンツでも、結構印象が変わると思います。
クラシックなスタイルがベースの当店ですが、ドローコード&シャーリングで、リラックスしたパンツなんかもオーダーいただけます。
特に夏のシャツは、リネンとコットン&リネンが最高です。軽くて、肌触りもサラッとしていますので、本当にリラックスできます!
当店のオーダーシャツの受注は、4月頃からリネンとコットン・リネンが本当に多くなります。
涼しくて、軽くて、汗も乾きやすいので、日本の亜熱帯な夏を少しでも快適に過ごせるようにサポートしてくれるアイテムです。Tシャツやポロシャツも良いですが、リネンシャツは装いをワンランク上げてくれると思います。
年々オーダーできるリネンのシャツ生地の種類も増えていて、20年前と比べると圧倒的な品揃えでございます。それだけ、リネンシャツをオーダーされるお客様が増えているということですね。
日本国内にストックされているイタリア製を中心としたリネンとカチョッポリのリネン
アロエコーティングでトロトロの肌触りが特徴のソルビアッティのストリート・リノ
私は、ざっくり分けると、カジュアルシャツは100%リネン、ジャケットの下に着るドレスシャツはコットン&リネンでオーダーすることが多いですが、100%リネンのシャツをビジネスで着るのも全く問題はないと思います。
今まで私オーダーしたリネンシャツの一部をご紹介します。毎年2~4枚くらいずつオーダーしていたら、いつの間にか増えておりました。
チェックやストライプのリネンシャツ
無地も、白・黒・ブラウン・ネイビー・グリーンなどたくさんオーダーしております
我ながら、なかなか良い感じのワードローブでございます。10年以上着ているシャツもありますので、本当に持ちが良いですね。
ただ、まだまだオーダーしたい生地がありますので、きっとこれからも増えていくと思います。汗
COLLABORATION STYLEのオーダーアイテムも日々進化しておりますので、リネンでブルゾンもオーダーいただけます。
ドラッパーズの100%リネンのツイルで仕立てたG9タイプのブルゾン
いつもスーツやジャケットで選んでいる上質なリネンでブルゾンをオーダーするなんて、特別感やリッチ感がありますね。
ブルゾンもエイジングが楽しめそうです!
その他にも、コートやチョアジャケットもオーダーいただけます。
ということで、今回は、COLLABORATION STYLEでオーダーいただける素材の中で、春夏シーズンの定番で人気が高く個性のある素材・リネンでオーダーを楽しんでいただくために、ご用意している生地やアイテムのバリエーションについてご紹介させていただきました。
リネンは、様々なクオリティがあり、いろいろなアイテムがオーダーできますので、お客様それぞれのご要望に合わせたご提案をさせていただきます。
どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。
COLLABORATION STYLE 上原祥意