東京・銀座は、日毎の気温の寒暖差が大きく、花粉も大量に飛んでおります。
緊急事態宣言も延長されてしまいましたので、アパレル業界はなかなか大変な状況でございます。
ただ、土日の銀座は人がどんどん増えていて、緊急事態宣言中とは思えない状況になっております。汗
何はともあれ、感染拡大と体調管理に気を付けて、世界全体が元に戻るのを待つしかありませんね。
さて、今回は、2021年春夏シーズンに新しく届きましたDRAPERSのコレクションをご紹介させていただきます。
ご存じのように、イタリアは日本よりも新型コロナウイルスの影響は深刻な状況でございます。製造業や運送業なども稼働時間を抑えられていて、生地の生産にも影響が出ておりますが、そんな中、DRAPERSから3冊のバンチブックと1シーズン限定のコレクションGOLDEN SELLECTIONが届きました!
日本に居るとイタリアの実際の状況は分かりませんが、イタリアも頑張っております!!!
ということで、今回はDRAPERSの新作コレクションの中から、3年ぶりにリニューアル致しましたASCOT(アスコット)をご紹介させていただきます。
DRAPERSのASCOTは、いわゆる強撚糸(HIGH TWIST)でザックリと織られた生地が収録されているバンチブックでございます。
リニューアルする前のバンチブックは、TWO AND FOUR PLYと表記されておりましたが、今回のバンチブックには、TWO,FOUR AND SIX PLYと表記され、SIX PLYの服地が追加されました。
DRAPERSのSIX PLYの生地は、実は既に、WINTER SPORTS JACKETSというバンチブックの中に収録されておりますが、今回「強撚糸」の仲間としての括りで、ASCOTの改めて収録されました。
ということで、まずは、夏の定番生地として、COLLABORATION STYLEでも、今までたくさんのお客様にオーダーいただいておりますTWO PLY(2PLY)の生地からご紹介させていただきます。
TWO PLY(2PLY・トゥープライ)の生地とは、2本の糸を撚って作った糸を使用して織った生地のことで、日本語では双糸と呼ばれ、多くの生地で用いられる最も基本的な糸の使い方でございます。(詳しくは、ググってみてください。笑)
そして、ASCOTのTWO PLYは強撚糸(HIGH TWIST)なので、通常よりも強く撚りをかけたTWO PLYの糸を使用して織られている生地になります。
ただ、強撚糸の生地ではございますが、ザラっとしたり、ゴリっとしてはおらず、さらっとして軽い生地でございます。
今シーズンは、このTWO PLYのコレクションの中から、明るめのネイビーのグレンチェックの生地でサンプルスーツを作ってみました!
ここ数年、生地のトレンドとして続いている、英国調の柄の中で、ネイビー系のグレンチェックは、いろいろな生地メーカーの様々なクオリティの生地で展開されている鉄板の色柄でございます。
チェック柄の大きさや色使いの違いはございますが、ネイビーのチェック柄のスーツは、気が付けば今までCOLLABORATION STYLEでも何着も作っております。笑
前回のブログでご紹介したLORO PIANAのTASMANIAN®でも個人的にネイビーのチェック柄を選んでおります。汗
柄自体が悪目立ちせず、かつ無地でもなく、生地に表情があるので、コーディネイトしやすい柄ですね。
強撚糸(HIGH TWIST)の生地は、日本の夏にも快適なザックリとした風合いとドライ感が特徴ですが、ASCOTのTWO PLYの生地は、比較的しっとりとしているのも、マニアック過ぎずに多くのお客様にオーダーいただいている理由だと思います。
今回サンプルスーツで選んだ生地以外にも、TWO PLYは全30色ございますので、ざっとご紹介させていただきます。
サンプルスーツで選んだチェック柄は、グレー2色、ネイビー2色でございます。良く見ると比較的チェックの柄は大き目です。
ブークレ糸のウインドペーンは、目立ちすぎず優しい柄です。
ハウンドトゥース(千鳥格子)は定番で、スーツだけではなく、パンツでのオーダーも多い生地です。
こちらも、ずっと人気の高い定番のストライプです。しっかりとしたストライプ柄ですが、爽やかな夏らしい雰囲気に仕上がります。
無地は全14色展開です。スーツだけではなく、パンツでのオーダーもとても多い生地でございます。
ネイビー、グレー系の他、ブラウンやグリーンもオススメです。
続きましては、ここ5~6年で認知度が一気に上がった、370g/mのFOUR PLY(4PLY)の生地でございます。
250g/mのTWO PLYに比べると、糸が倍の太さになっているので、ウエイトも重く、ゴリゴリっとした風合いで少しマニアックな生地になります。
マニアックと言いながらも、英国製の生地ではマーティンソンのフレスコやエドウィン・ウッドハウスのエアーウールなど、昔からハイツイストのヘビーな生地はありましたので、英国製の生地がお好きなお客様にはよく知っている雰囲気の生地だと思います。
イメージとしては、DRAPERSのFOUR PLYは、イタリアが作った、英国生地という感じですね!
(余談ですが、DRAPERSの秋冬物のFIVESTARSという生地もイタリアが作った英国生地という雰囲気の生地で、英国でも売れているそうです。)
ただ、英国製のフレスコやポーラと呼ばれる強撚糸の生地よりも、比較的しっとりとした風合いで、生地の弾力や落ち感があるのは、やはりイタリア製らしいと思います。
FOUR PLYもTWO PLYと同じく30色のコレクションが収録されておりますので、ざっとご紹介させていただきます。
まずは、はっきりしたカラードストライプです。FOUR PLYの生地には、このくらいの強いストライプが合いますね。
グレンチェックにうっすらと太めのオーバーペーンが入った生地です。太い糸の平織り生地なのでグレンチェックやウインドペーンなどの英国調の柄が中心になりますが、色使いはイタリアですね。
ハウンドトゥース(千鳥格子)もTWO PLYよりは粗めの柄になります。
やはりグレンチェックは絶対ですね。
さらに英国っぽいブルーや赤のラインが入ったグレンチェック。
クラシックなウインドペーン。ブラウンベースが新鮮です。
無地は全12色ございます。TWO PLYの生地と同様にスーツだけではなく、パンツでのオーダーも多い生地でございます。
仕立て栄えもして、ほとんどシワにもならない生地で通気性もありますので、夏にも最適な感じですが、370g/mの重さがあるので、どちらかと言うとスリーシーズンタイプの生地になると思います。
少しマニアックな生地の部類に入るFOUR PLYですが、ここ数年で重たい生地が好きなお客様だけではなく、今まで重たい生地のスーツを着たことの無いお客様にも浸透してきておりますので、今後も定番のクオリティになりそうですね!
個人的には、ハンドメイドでくったりと柔らかく仕立てたいですね!!!
そして、最後にご紹介するのが、480g/mのSIX PLY(6PLY)でございます!
6本の糸を撚って作った糸で織られたゴリゴリのマニアックな生地です!!!
無地のみ全7色ございます!
かつて、エドウィン・ウッドハウスなどがSIX PLYを生産していたことはありますが、現在、SIX PLYの生地を織れる技術のあるメーカーはほとんどありません。
まさにビンテージ生地を思わせるようなゴリゴリ、ジャリジャリな生地ですが、イタリア製らしくしっとりとして、光沢感もございます!
かなりマニアックな生地なので、好き嫌いは分かれるとは思いますが、生地も多様性の時代で、様々なメーカーがいろいろな個性の生地を作り出しているので、洋服屋としても楽しいですし、お客様の選択肢も広がりますね!
私自身も、どんどんいろいろな生地でスーツやジャケットを仕立てて、お客様にオススメしないといけませんね。汗
ということで、今回も長くなってしまいましたが、DRAPERSのASCOTのコレクションをご紹介させていただきました。
2021年もまだまだたくさんの生地ブランドの個性的な生地が入荷しておりますので、ブログの更新も頑張ります!
COLLABORATION STYLE 上原祥意