今回のコラムは、COLLABORATION STYLEでご用意しておりますオーダーコートの中から、創業以来、人気の高い本格仕様のポロコートについて、こだわりの仕立てやデザイン、着こなし方など、お客様からオーダーいただきました素敵なコートもご紹介しながら、その魅力をお伝えしたいと思います。
COLOMBO社の100%カシミヤで仕立てたポロコート
ポロコート(Polo Coat)は、文字通りポロ競技に由来するオーバーコートです。
19世紀後半にイギリスのポロ競技の選手が、試合の休憩中などに体を冷やさないように羽織っていた「ウェイトコート(Wait Coat)」が原型となった伝統的なコートで、その後、アメリカのブルックスブラザーズ社が「ポロコート(Polo Coat)」と名付けて販売し、一般に普及しました。
したがって、元々はスポーツ時の防寒着でしたが、現在ではスーツスタイルにも合わせられるクラシックなコートとして広く着られております。
ポロコートは、チェスターコートやラグランコートとは違い、パーツが多く、手の込んだ仕様や縫製が必要なため、作製が難しいコートです。
COLLABORATION STYLEでは、長年提携している技術が高く信頼できる縫製工場と作り上げた、デザインバランスや着心地が良く、トラディショナルでありながら、現代的にアップデートした本格仕様のスタイリッシュなオーダーポロコートをご用意しております。
縫製工場と試行錯誤を繰り返しながら作り上げたポロコートは、ファクトリーメイドでは最上級にこだわったクオリティでございます。
ポロコートの衿は、衿幅が広めのアルスターカラー(Ulster collar)です。ピークドラペルを採用しているテーラーもありますが、当店ではスポーティな印象のアルスターカラーで作製しております。ちなみに、アルスターの名称は北アイルランドのアルスター地方という地名から付けられております。
腰ポケットは、ポロコートのアイコンとも言えるフレームドパッチ&フラップポケット(フレームドパッチポケット)でございます。
パッチポケットの中にフラップを付け、さらにその周りを額縁のように囲んだポケットで、ポロコートならではのデザインです。
他にもポロコートに良く使われる、パッチ&フラップポケットもお選びいただけます。
ポロコートを何着もオーダーされているお客様は、ポケットの変更などでデザインの変化を楽しまれています。
ポロコートは、バックスタイルにも大きな特徴がありますが、背中の中心には、アクションプリーツとして、インバーテッドプリーツがございます。
ヒダ山が外側ではなく内側で突き合わさった「逆ヒダ」のプリーツで、インバーテッド(inverted)は「逆さの」という意味です。ボックスプリーツを裏から見たような形状が特徴です。
また、背中の両側に、プリーツを取って、よりドレープ(抑揚)を出しております。
ウエストのシェイプを強調するバックベルトです。本来は、ベルトについているボタンを移動することで、ウエストの絞り具合を調整する機能的なものでしたが、現在はデザイン上のアクセントとしての役割がメインです。
腰から下は、ベントではなく、たっぷりと生地を使ったプリーツ仕様で、内側をボタンで留めております。
プリーツにすることでボリューム感が増し、動く度にきれいなドレープが出て、リッチな雰囲気になります。
ターンナップカフとは、袖口が折り返しになっているデザインのことです。
袖口に厚みが出るため防寒性に優れ、見た目にも重厚感があり、クラシックな印象になります。COLLABORATION STYLEの基本仕様は、ボタン留めにしてアクセントを加えておりますが、シンプルにボタン無しでのオーダーも可能です。
お客様から時々ご質問のあるポロコートとアルスターコートの違いについてご説明いたします。
アルスターコートは、とても歴史が古く、実はポロコートやトレンチコート、タイロッケンコートなどの原型となったコートです。
デザインとしましては、ダブルチェスターコートの衿を、ピークドラペルからアルスターカラーに乗せ換えたようなコートで、少しカジュアルな印象になります。
コートの名前には、いろいろな解釈がありますが、COLLABORATION STYLEでは、アルスターコートに、上記でご説明したインバーテッドプリーツやバックベルト、フレームドパッチ&フラップポケット(パッチ&フラップポケット)、ターンナップカフなどの仕様を付け加えたコートをポロコートとしております。
ポロコートは、セレクトショップや百貨店などのメンズコート売場では、ほとんど販売されていません。また、元祖のブルックスブラザーズでも定番の数色しか取り扱いがありませんので、お好みのポロコートを手に入れるにはオーダーが最も簡単でベストな方法です。
お好みの生地や仕様を選べるのはもちろんのこと、20年30年と長く着ていただけるサイズの合った自分だけのポロコートをお作りいただけます。
ポロコートは、好みものを既製品で探すのは、かなり難しいので、私ももちろんオーダーで作っております。
100%カシミヤのグレーのヘリンボンで仕立てたポロコート
型紙や仕立てのバランスが良いので、ボタンを外しても良い雰囲気です。
バックスタイルもきれいなドレープが出ております。
ポロコートは、現代におきましては、メンズのコートの中で、最もディティールに凝ったクラシックで高級感のあるオーバーコートとして、スーツスタイルやジャケットスタイルにコーディネートすることが多いですが、元々はスポーティなコートなので、カジュアルスタイルとの相性も良く、オンオフ兼用で着ていただけます。
本格仕様のポロコートは、タイドアップしたビジネススタイルを格上げします
ニットやシャツとの相性も良く、大人のカジュアルスタイルでも活躍します
ポロコートの定番素材と言えばキャメル(キャメルヘア)です。
キャメルとは、文字通りラクダのことで、洋服の生地に使用されるキャメルは、背中にコブが2つあるフタコブラクダの毛でございます。メンズの洋服にはいろいろな定番素材や定番アイテムがありますが、ここまで認知されているケースは少ないと思います。
そういった意味でもキャメルのポロコートは、クラシックスタイルが好きな方は、必ず手に入れたいアイテムのひとつだと思います。
私が、COLLABORATION STYLEのポロコートで最初に使用した素材もキャメルです。
このコートの生地は、LORO PIANAのBACTRIAN(バクトリアン)という名前で、キャメルの中でも生後半年までの子供の毛を使用したベビーキャメル100%です。BACTRIANとはフタコブラクダのことです。
多くの生地メーカーで使われるキャメル(アダルトキャメル)は、比較的ドライでごわっとした風合いですが、ベビーキャメルの毛は細く柔らかく暖かいのが特徴で、風合いはカシミヤとほとんど変わらないほどに上質です。
希少で高級な生地ですが、COLLABORATION STYLEのポロコートでは、とても人気が高いです。
ナチュラルなキャメル色だけではなく、ネイビーやブラックも人気があります。
LORO PIANA BACTRIAN 100%ベビーキャメルのネイビーで仕立てたポロコート
キャメルの生地は、世界中の生地マーチャントで取り扱われておりますので、キャメルのポロコートのオーダーをご検討の際は、ぜひ比較してご覧ください。
定番のキャメル以外でも、様々な生地で素敵なポロコートをオーダーいただいておりますので、お客様の着こなしと併せてご紹介させていただきます。
DRAPERSのデッドストック CASHMERE&VICUNAのキャメル色で仕立てたポロコート
カシミヤ&ヴィキューナ(ヴィクーニャ)の極上の生地で仕立てたコートは、風合いと光沢が別格です。上質な素材にクオリティの高い仕立てが組み合わさった、正に一生もののコートです。タイドアップしたスーツスタイルが、より高級感を醸し出しております。
バックスタイルもとても良い雰囲気です。
DRAPERSのデッドストック CASHMERE&VICUNAのダークネイビーで仕立てたポロコート
上質な生地を使用しながらも、着丈は膝上で、スタイリッシュに軽く仕上げた贅沢なポロコートです。タイドアップしたビジネススタイルとのコーディネートも完璧で、スタイリッシュなビジネスパーソンの完成です。
LORO PIANA 100%カシミヤのグレイッシュブラウンで仕立てたポロコート
ロロ・ピアーナならではのなんとも上品な色のカシミヤポロコートです。タートルネック・デニム・ブーツでコーディネートいただきました大人の休日スタイルです。キャメルやネイビーなどの定番色以外のポロコートも格好良いです。
LORO PIANA PECORA NERA®のヘビーウエイト(720g/m)のヘリンボンで仕立てたポロコート
ポロコートは、ヘビーウエイトの生地との相性もとても良く、バランス良く仕立てたコートは、決して重く感じません。赤のロンドンストライプのシャツをアクセントに、黒のパンツとシングルモンクストラップの靴でコーディネートいただきました。メンズでも明るめのコートが1着あるとコーディネートが楽しめますね。
COLOMBO 100%WOOLのネイビーで仕立てたポロコート
ジベリン加工でカシミヤのような風合いに仕上げたイタリア・コロンボ社のウールビーバーは、コストパフォーマンスの高い生地で、どのデザインのコートにも相性か良いです。
白いシャツ・デニム・ブラウンのローファーのシンプルなカジュアルスタイルでコーディネートいただきました。
DRAPERS 100%WOOLのライトブラウンのヘリンボンで仕立てたポロコート
ヘビーウエイトの生地を使用して、膝下長めの着丈で仕立てたコートは、体を包み込むようなクラシックなスタイルが格好良いです。少しザックリとしたツイーディーな生地なので、タイドアップしたフランネルスーツとのコーディネートは抜群です。
本当に様々な生地で素敵なコートをオーダーいただいておりますが、他にも、お客様が作られたコートは、Galleryのページでご紹介しておりますので、ぜひ併せてご覧ください。
ということで、今回は、COLLABORATION STYLEでご用意しているオーダーコートの中から、創業以来、人気の高い本格仕様のオーダーポロコートについて、当店のこだわりの仕立てやデザイン、オンオフ共に活躍する着こなし方など、その素晴らしい魅力をお伝えさせていただきました。
ショップには、私が選んだいろいろな生地と仕様で仕立てたポロコートをご用意しております。実際にコートをご試着していただきながらご相談を承りますので、オーダーをご検討されているお客様は、いつでもお気軽にお電話又はメールでお問い合わせください。
COLLABORATION STYLE 上原祥意