ビジネススタイルの自由度が高まり、きちんと感と快適さを両立できる装いが求められる今、コットンスーツはとても頼れる一着です。今回は、リネンスーツと並んでカジュアルスーツを代表するコットンスーツについて、私が実際にオーダーし、長年愛用してきた理由を、その特徴や着こなし、生地選びとともにお伝えいたします。
コットンスーツとは、その名の通り、綿(コットン)素材を主に使用したスーツです。代表的な生地にはツイル、ギャバジン、ドリル、キャンバス、デニム、ストレッチ素材などがあり、織り方や加工によって厚み、重さ、風合いは大きく変わります。
ウールスーツに比べて光沢やフォーマル感が抑えられ、リネンスーツほどクラシック過ぎず軽快な雰囲気なので、ビジネスカジュアルから休日の装いまで幅広く活躍します。天然素材ならではの肌触りの良さに加え、着込むほどに身体になじみ、少しずつ味わいが増していく点も魅力です。
春夏はもちろん、素材の厚みや色選び次第で長い季節を楽しめる、現代のワードローブにふさわしい一着です。
・自然な風合いとシワの味
コットンならではの自然で優しい肌触りは、スーツの堅苦しさを和らげながら、清潔感のある印象を与えてくれます。シワになりやすい素材ですが、着込むほどに身体に馴染み、そのシワは自分だけの味になります。新品のきれいさだけではなく、着用による経年変化を楽しめるのも大きな特徴です。
・きちんと感とリラックス感
ウールスーツの端正さやフォーマル感に比べ、コットンスーツには力の抜けた自然なリラックス感があります。きちんと見えるけれど堅苦しくない。その絶妙なバランスが、オフィスカジュアルや気軽な会食など、現代のビジネススタイルによく合います。
・オンオフで着回せる汎用性
ネクタイを締めればクラシックなビジネススタイルに、シャツやTシャツなどと合わせてノーネクタイで着こなせば、大人のリラックススタイルになります。
また、セットアップとしてだけでなく、ジャケットとパンツを別々に使いやすいのも特徴です。着回しの幅が広く、1着で複数のコーディネートを楽しめるため、ワードローブの可能性も広がります。
・春夏から秋冬まで楽しめる
コットンは吸湿性に優れた天然素材で、汗ばむ季節でもべたつきにくく、さらりとした着心地を楽しめます。そのため春から夏にかけて着ていただけますが、ウールやリネンに比べて目の詰まった生地が多く、見た目ほど涼しく感じない場合もあります。
とは言え、日本の真夏は何を着ても暑いです。コットンスーツは色や素材を上手に選べば、真夏と真冬を除く長い季節で楽しんでいただけます。
コットンスーツは、多くの皆様に着ていただきたい、大人のためのビジネスカジュアルアイテムです。ただ、セレクトショップや百貨店のスーツ売り場を見ても、既製品の選択肢は決して多くありません。色、生地感、シルエット、パンツの仕様まで自分に合う一着を求めるなら、オーダーで仕立てる価値はとても高いと思います。
さらに、当店でご用意しているコットンの生地はざっと数えて500種類以上ありますので、定番のベージュやネイビーはもちろん、季節感のある色、ストレッチ性のある素材、少し個性のある表情の生地まで、ご予算や着用シーンに応じて自分だけのスーツをオーダーいただけます。
また、コットン生地は耐久性が高いので、多少コストが掛かっても身体に合った良いものをオーダーして長く着ていただくことが、体にも心にもお財布にも優しいと思います。そして、革製品やデニムパンツと同様に、使い込むことで少しずつ生地の風合いや着心地が変化していくエイジングも楽しめます。
オーダーで仕立てることの大きなメリットは、最適なサイズで、かつお好みのスタイルやデザインを選んで自分だけのオリジナルのスーツが作れることです。
サイズに関しては、コットンスーツはウールやリネンのスーツと着用感が異なります。さらに、修理の際に縫製の針跡やプレス跡が残りやすいため、既製品を後から直す場合は調整できる範囲が限られます。その結果、肩まわりの着心地やウエストのフィット感、パンツのシルエットなど、どこかに妥協を残したまま着ることになりがちです。
オーダーでは、この着用感の違いや仕上がり後の修正などを考慮しながらフィッティングすることで、ストレスの無い快適なサイズ感のスーツをお求めいただけます。
また、コラボレーションスタイルでご用意しておりますオーダースーツのスタイルとデザインは、コットンスーツでも全てご使用いただけます。
既製服では、圧倒的に少ないスリーピースやダブルブレステッド、またオーダーでは人気のあるベルトレスのパンツとの組み合わせなども、制限されることなくお求めいただけます。
コットンはイタリア製を中心に多くのマーチャントで取り扱いがあります。私自身がオーダーしたことのある生地を含めてコラボレーションスタイルでご用意しているコットンの中から人気と実績のある間違いのない生地をご紹介させていただきます。
イタリア・ソルビアッティの定番のコットンギャバジンです。コットン生地の中でも特に柔らかく、240g/mの軽さの生地は、日本の夏でも快適に着ていただけます。10年以上続いているバンチブックは、35色のバリエーションを揃えています。
コラボレーションスタイルでは、今まで最も多くコットンスーツをオーダーいただいている生地で、もちろん私もオーダーしております。
今まで私がオーダーしたコットンスーツの中では、最も軽くて柔らかく、着心地の良い素材です。コットンでは珍しくリピートでオーダーいただくことも多い生地で、唯一無二の名作です。
ドラッパーズ(カノニコ)もコットン生地が豊富で、210~300g/mの春夏物の生地を収録したCOTTON CLUBと430~450g/mのヘビーウエイトで少し起毛した秋冬物の生地を揃えたCOTTON DELUXEがございます。
ソフトな風合いの100%コットンからポリウレタン(エラスタン)をブレンドしてストレッチを効かせた張りのある生地など様々なクオリティがあり、カラーバリエーションも豊富です。
日本のデニムの産地・岡山県のメーカーに別注した540g/m(19オンス)のデニム生地も人気があります。
カチョッポリは、2000年代前半に日本へ進出してきた当初からコットンのコレクションがとても豊富です。コットンソラーロやコットン・リネン、様々なコンポジションのデニム生地などの個性的な生地も揃っており、コストパフォーマンスも高く、春夏、秋冬ともにカラーバリエーションも豊富です。
私もライトグリーンとブルーの組み合わせのコットンソラーロで、スーツをオーダーしました。
ベージュやネイビーなどの定番の色をお持ちでしたら、ビビッドな色や中間色など遊び心のある生地を選んでみるのも良いと思います。ウールスーツでは決して選ばない色の生地のスーツを着ることが出来るのもコットンスーツならではの魅力です。
ロロ・ピアーナは、ラグジュアリーブランドらしく洗練された雰囲気のコットン生地が揃っています。MAREのバンチブックには、ポリウレタン(エラスタン)をブレンドした生地と100%コットンの2種類のクオリティがございます。
そして、A WORLD OF COLOURSに収録されている、250~260g/mと390g/mの2種類のクオリティの上質なコットン・カシミヤは圧巻のカラーバリエーションです。
フォックスブラザーズは英国の人気マーチャントですが、コットンのコレクション・FOX KHAKI(フォックスカーキ)はイタリア製です。
310~320g/mの適度なウエイトで、もっちりとした肉感とソフトな風合いが特徴のコットンは良い意味で素朴な雰囲気を醸し出しています。
私も英国を代表する人気マーチャントが作る、他には無いもっちりとした風合いに惹かれて、オリーブグリーンでスーツをオーダーしました。
実際に仕立ててみると、しっとりとした滑りと弾力がある生地なので、とても着心地が良いです。素朴な雰囲気の中にも上品さがあり、経年変化も楽しめる一着です。
英国を代表する老舗コットンメーカーのブリスベン・モスのコットン生地は、クラシックで耐久性のある100%コットンにこだわったコレクションが揃っております。
派手さはなく、自然で落ち着いた色が特徴で、春夏物は高密度なコットンドリルにピーチ加工を施したShakespeare(シェイクスピア)というコレクションが最も人気があります。
また、冬物にはコーデュロイ・モールスキン・キャバルリーツイルなど丈夫で質感豊かな素材が揃っています。
エルメネジルド・ゼニアのカシコ(CASHCO)は、上質なエジプト綿にカシミヤとポリウレタン(エラスタン)をブレンドしたソフトな風合いの生地です。春夏はツイル、秋冬はコーデュロイでご用意しております。
ツイル生地は、表面がピーチスキンのような薄っすらと起毛したソフトな風合いの中にもハリと反発力があり、比較的シワになり難いのも特徴です。
カシコならではの他のメーカーにはない独特の風合いに惹かれて、私もスーツをオーダーしました。
エジプト綿とカシミヤを使用した高級素材ですが、ワークウェアやアウトドアウェアのような風合いも感じられ、こなれた雰囲気があります。
ラルスミアーニは、コットン生地の生産工場としてはイタリア最大手です。伝統的な生地に加え、ポリウレタンなどの化学繊維と混紡してストレッチ性を持たせた革新的でファッショナブルな生地も多く、色や目付、そして価格のバリエーションが豊富です。
特に98%コットン・2%ポリウレタンの定番素材は、日本中で最も販売されているコットン生地のひとつです。
コットンスーツは、ビジネスカジュアルやスマートカジュアルの着こなしが得意なアイテムです。仕事だけでなく、休日のスタイルにも活躍します。
合わせるインナーや靴によって表情が変わり、ウールスーツでは少し難しく感じる着こなしも、コットンスーツなら自然に取り入れやすくなります。
ビジネスシーンでは、タイドアップして革靴を合わせることで清潔感があり、とても品よくまとまります。
ウールスーツよりもリラックス感があり、柔らかい雰囲気で着こなせます。
ネクタイを外してもだらしない印象にならず、より軽快な着こなしが楽しめます。
また、カジュアルシャツやポロニット、ローファーとの相性も良く、カジュアルの中にも品のあるスタイルを楽しめ、オンオフ兼用で着用されることでワードローブも広がります。
さらに、Tシャツとスニーカーを合わせれば大人のきれい目な休日スタイルの完成です。もちろん職種によっては、ビジネスシーンでも十分通用するスタイルです。
コットンはシワの入りやすい素材ですが、その自然なシワによって柔らかさや涼しさ、リラックス感を感じられるのが魅力です。
耐久性のある素材なので、着用後はブラッシングをして風通しの良い場所で休ませ、丁寧にケアすることで、コットンならではのエイジングを楽しめます。
ただし、コットンはウールと比べて、スチームだけでは気になるシワを取り切れないことがあります。その場合は、霧吹きで軽く水分を含ませてからアイロンをかけると、生地が整いやすくなります。
アイロン掛けは決して難しくはありませんが、ちょっとしたコツがありますので、ご質問等はお気軽にお問い合わせください。
ということで、今回は私自身がオーダーしたスーツのご紹介を交えながら、コットンスーツを長年愛用してきた理由をお伝えいたしました。
働き方やビジネススタイルの変化によって、スーツを着る機会は以前より少なくなっています。それでも、きちんとした印象がありながら快適でリラックス感もあり、着こなしの幅も広いコットンスーツは、今の時代にとてもよく合うアイテムです。
そして、その魅力を最大限に引き出す為にはオーダーで仕立てるのが最適です。
店頭には、私が実際にオーダーしたコットンスーツを展示しております。ぜひ生地の風合いや着用したときの雰囲気をご覧いただきながら、ご自身の一着をイメージしてみてください。
私・上原がお客様それぞれのご要望に合わせたご提案とサポートをさせていただきますので、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。
COLLABORATION STYLE 上原祥意