今回は、春から秋にかけて、真夏を除く季節に上質なカジュアルスタイルを楽しめるサマーカシミヤジャケットについて、これまでにオーダーしてきた経験を踏まえ、その魅力をお伝えしたいと思います。
サマーカシミヤジャケット(Summer Cashmere Jacket)とは、春夏シーズンにも着用できるように軽く、薄く織り上げたカシミヤ100%またはカシミヤ混紡の生地で仕立てたジャケットです。
メンズファッションでは、一般的にカシミヤは冬用のジャケットやコートで使用されるソフトで暖かい生地の印象が強いですが、その繊細で上質な繊維の特性を活かした春夏向けのラグジュアリーな素材としても高い評価を得ています。
近年はヨーロッパの高級生地メーカーを中心に、そのバリエーションも年々充実しております。
私自身、現在現役で着ているサマーカシミヤのジャケットは3着あります。過去も含めると6着以上はオーダーしている、とても好きな素材でございます。
春夏のジャケットの中でも特に高級感があり、常にワードローブに持っておきたいアイテムです。
カシミヤ特有のソフトでヌメリ感のある風合いは、触れるだけでも上質さが伝わります。そして、その風合いは着心地の良さと高級感を醸し出します。
起毛感を抑えた春夏向けの仕上げにより、素材本来の良さをより自然に感じられる点も魅力です。
極細の繊維を用いて薄く織り上げることで驚きの軽さに仕上げています。
さらに、糸に強度のあるシルクやリネンとの混紡で、180~220g/mというシャツ生地並みの軽さのクオリティも存在します。
生地の名前にも、雲のように軽いCASHMERE CLOUDや、そよ風になびくように軽いALASHAN BREEZEといった表現が使われています。
独自の繊維の細さとしなやかさにより、染料が繊維の芯まで浸透しやすく、深みのある美しい発色を生み出します。また、光を柔らかく反射した光沢が、エレガントな高級感を醸し出します。
「サマー」とついておりますが、真夏というより、スリーシーズン楽しめる上質なカジュアルジャケットです。
湿度の低いヨーロッパでは夏でも着ることが出来ると思いますが、日本では春から初夏、そして秋から初冬にかけての季節の変わり目に着るのがちょうど良いと思います。
また、昼夜の寒暖差がある避暑地へのご旅行や東南アジアのような極端に冷房が効いた室内環境ではとても重宝します。
ちなみに、LORO PIANAが20年以上前に発表したカシミヤ・シルクのCRUISE LINE(現在のCASHMERE CLOUD)という生地は、アメリカ人が避暑地であるバハマに旅行する際に着ることをイメージして作られました。
サマーカシミヤのジャケットは、高級ブランドやセレクトショップでも販売されておりますが、高額品であるがゆえに既製品では品揃えが限られてしまいます。
一方、オーダー生地は主にイタリアの高級生地メーカーを中心にバリエーションがとても豊富です。
サイズやデザインの自由度に加え、生地選択の幅広さを考えると、サマーカシミヤのジャケットはオーダーに適したアイテムです。
特にヘビーユースするジャケットではないからこそ、10年・20年と長くご愛用いただける仕立ての良いものをオーダーする価値があります。
CASHMERE CLOUD(カシミヤ・クラウド)は、サマーカシミヤでは、最も古くからある生地の1つで、ロロ・ピアーナを代表する春夏の高級ジャケット生地です。
カシミヤ93%シルク7%で作られた生地は、とろみとヌメリ感が最高で、誰が見ても一目で上質と分かるクオリティです。
上質でクラシックなジャケットスタイルが好きな方は、ぜひお試しいただきたい素材です。
日本国内では、限られたショップにしか配布されていない特別な生地で、色柄は不定期に入れ替わります。
CASHMERE CLOUDと合わせて、ロロ・ピアーナを代表するサマーカシミヤ素材です。ヨーロッパの初夏の夕暮れ時(サンセット)に軽く羽織るジャケットをイメージして作られたコレクションは、シルクの混紡率を上げることで、シルクのネップを活かした凹凸感のある表情が清涼感を出しております。
定番のクオリティは、52%シルク・48%カシミヤです。
さらに、リネンがブレンドされた59%カシミヤ・22%シルク・19%リネンのクオリティもございます。
爽やかでファンシーな色柄が多く、高級感の中にもスタイリッシュでスポーティーな着こなしが楽しめます。
CASHMERE AWARD(カシミヤ・アワード)は、ロロ・ピアーナ社が扱うカシミヤ原毛の中でも、白さ・細さ・柔らかさを厳選した最高品質のロットに付けられる限定コレクションです。
冬物のジャケットやコート生地が中心のコレクションですが、100%カシミヤのヘリンボンとマットウーステッドでサマーカシミヤがございます。
ピアチェンツァを代表する、カシミヤ・シルク・リネンの3者混の超軽量素材です。
最高級のカシミヤの産地・アラシャン(ALASHAN)地方のカシミヤを使用し、夏のそよ風(BREEZE)のように爽やかで快適な生地という意味で、ALASHAN BREEZEでございます。
先程お伝えしたように、サマーカシミヤはスリーシーズンの生地がほとんどですが、この素材は非常に薄くシャツ生地並みの軽さで、真夏でも着ることが出来る希少な生地です。
真夏の装いを軽く涼しい上質なジャケットで楽しみたい方には最高の素材です。鮮やかな発色の生地も多いので、リゾート地やカジュアルなパーティーでも映えます。
私がオーダーしたサマーカシミヤのジャケットとそのコーディネートをご紹介いたします。ぜひ、皆様がオーダーされる際のご参考にしてみてください。
ロロ・ピアーナのSUNSETのコレクションから、ブラウンベースに2色のブルーのラインが入ったイタリアらしい配色のチェック柄で、2016年にBLACK LABELで仕立てたジャケットです。
タイドアップのスタイルは、ブルーのロンドンストライプのシャツとチャコールグレーのパンツに、YUKI SHIRAHAMA BOTTIERの型押し革のセミブローグ。ネクタイは、ジャケットのブルーの色に合わせたAtto Vannucciのセッテピエゲでコーデしました。
ノータイのスタイルは、シャツを太幅のロンドンストライプに変えて、ロロ・ピアーナの三者混(ウール・シルク・リネン)のデニム生地でオーダーしたパンツを合わせました。
タイドアップもノータイも、イタリアらしいアズーロ・エ・マローネのコーデです。
ライトベージュの上品な色は、長い間、ずっとジャケットを作りたいと思っていたSUNSETの生地で、2024年にPURPLE LABELのセカンドサンプルを兼ねてオーダーしました。
サックスブルーのシャツにグレーのパンツ、靴はビスポークのフルブローグ。ネクタイは、春らしいライトグリーンでのコーデです。
ノータイスタイルは、ダークブラウンのリネンシャツ、オフホワイトのコットンパンツ、クロコダイルヌバックのローファーで、ホワイトからブラウンのグラデーションでコーデしました。ベージュやブラウンが好きな私の鉄板のコーデです。
ALASHAN BREEZEのブルーのグレンチェックで2025年にPURPLE LABELで仕立てたジャケットです。180g/mの生地で仕立てたジャケットは、自分史上最も軽いです。
コットン・リネンの白シャツにミディアムグレーのパンツ、靴はブラウンカーフのセミブローグ。ネクタイは、軽いジャケットに合わせて、軽いシルクプリントのセッテピエゲでコーデしました。
ノータイスタイルは、コットン・リネンのブルーシャツにオフホワイトのコットンパンツで、典型的なイタリアコーデです。
ということで、今回は、春から秋にかけて、真夏を除く季節に活躍する上質で心地良いサマーカシミヤジャケットについて、これまでにオーダーしてきた経験をもとに、その特徴や魅力をお伝えさせていただきました。
日本のメンズファッションにおきましては、ラグジュアリーなカジュアルスタイルを楽しむ文化がまだ少ないですが、上質なアイテムを身に着けると体も心も心地良く、快適な大人の装いを楽しむことが出来ます。
サマーカシミヤジャケットは正にその代表的なアイテムです。
ショップには、今回ご紹介したものも含め、様々な生地でオーダーしたジャケットを展示しておりますので、ご試着しながらイメージを膨らませていただけます。
もちろん、私・上原が、お客様それぞれに合わせたご提案とサポートをさせていただきますので、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。
COLLABORATION STYLE 上原祥意